トラにまつわるエトセトラ その3

さらにしつこく「ベンガルトラ」について調べてみました。

ベンガルトラ Panthera tigris tigris
かつては北朝鮮人民共和国からインド、スマトラ島まで幅広く生息していましたが、現在はスリランカを除くインド亜大陸に2000頭ほどしか存在しないとのこと。

情けないのですが私は動物園でもお馴染みのトラが絶滅の危機に瀕していたことを知りませんでした。
ロシアに生息するアムールトラ、インドネシアに生息するスマトラトラにいたっては推定個体数は500頭、絶滅寸前と言わねばならない状況です。
そしてジャワトラ、バリトラ、カスピトラといった地域固有種はすでに絶滅しています。

WWFが絶滅の危機にあるトラを救おうと特集サイトを立ち上げていました。
トラ情報満載。ぜひご覧ください。
TRAFFIC EAST ASIA-JAPAN

WWFの会員になってサポート、ももちろん有効な手段ですが、すぐに自分でできる環境への取り組みは以下です。
●食べ物を大切に
●物も大切に
●レジ袋削減
●マイカップを使用

象印製品と迷いましたがやっぱり虎だ!
絶滅の危機に瀕していると知った今ではなんだか切ないロゴマーク。
CELESTIALのBengal Spiceをジャケ買い。開封直後はシナモン・クローブ・カルダモン系のすごい香りに焦りましたが、お湯を注ぐとほんのり甘みもある落ち着いたお味。成城石井で見つけました。

 

トラにまつわるエトセトラ その2

京都のトラ情報をひとつ。

こちらも宿からそう遠くなかったので、ふらりと出かけた南禅寺。
虎の襖絵で有名だったのですね!知りませんでした。

正月が終わった後は観光客もまばらで3方向を虎の襖絵で囲まれた「虎の間」をひとりでじっくり鑑賞することができました。
17世紀、狩野探幽の筆と伝えられています。
残念ながら写真撮影は禁止でしたので、パンフレットとリンクでご紹介。南禅寺パンフレットより「水呑みの虎」

そしてなぜかフィラデルフィア美術館がデータベース化していてくれております。
ぜひご覧ください。
>群虎図
キンキラキンの襖に竹林、その中を虎たちが楽しそうに跳ね回っていますね。
いやちょっと待って、虎じゃないのがいますよ?
狩野さん、それは豹です!
どうやら17世紀当時の日本で、虎より一回り小さい豹は虎のメスと考えられていたようです。
鎖国中で海外の情報はなかなか入りにくかった中、美しい縞の毛皮、そしてするどい牙と爪を持つ虎も奇想天外な幻獣のひとつだったのかもしれません。
龍と並び称されているくらいですしね。

開国後、江戸時代が終わろうとする10年程度の間に
ヒョウ、トラ、ラクダ、ゾウ、ライオンが次々渡来し江戸庶民の見世物となりました。
当時の人々の驚きようったらなかったでしょうね!

南禅寺の方丈庭園も俗に「虎の児渡し」と呼ばれています。
こちらは抽象表現。私には岩が虎には見えませんが、、、これまた飽くほどにひとり占めすることができました。

巨石(=母虎)は画面の左に半分見切れております。
15分前には雪が降っていました。京都は天気が変わりやすい?

参考
どうぶつのくに Vol.117
描かれた動物・植物 江戸時代の博物誌

トラにまつわるエトセトラ その1

 

澁澤龍彦著、高丘親王航海記では「トラ」が最後に重要な役目を果たします。
先日のダンス公演でも一体トラはどのような登場・演出をされるのかと思っていましたら、チラシの段階で以下の様に記載がありました。

ベンガルトラ造形

[監修]椿昇
[製作指導] 岡田啓伸
[製作]京都造形芸術大学プロジェクトセンター

「ベンガルトラ造形」・・・いったいどんな造形なのかトラとの対面の日をとても楽しみにしておりました。

その雄姿は公演をご覧になった方々はご存じですね!

公演が無事に終了いたしましたので、今回舞台裏のベンガルトラさんをご紹介いたします。

なんだかかわいい正面
またまたかわいい右顔
目力がキリリとした左顔

一体どうやって3次元化し針金で格子状骨格を作るのでしょうね?
実に素晴らしい造形です。

ちなみに京都公演の際に宿近くの「粟田神社」に参拝しましたが
そちらのポスターによれば京都造形芸術大学の協力により
長らく行われていなかった「大燈呂」が復活したそうです。
ねぷたの原型とも言われるお祭りだとか。

↓京都造形芸術大学HPに詳細が載っていました。
粟田祭に色鮮やかな「大燈呂」が登場! ―粟田大燈呂プロジェクト
edited by
京都造形芸術大学 広報室

粟田神社パンフレットより

 

コウモリフェスティバル 2018 in 三重 その8(ラスト)

第2部 お話し会&コウモリ観察会
コウモリの世界 –吸血鬼なんかじゃないよ
大沢夕志さん(コウモリの会)

第1部のマニアックな講演会を終えて、フェスティバルは第2部お話会とコウモリ観察会に突入です。

お話して下さる大沢さんはご夫婦でコウモリに会いに世界中を旅しておられます。
ブログも情報満載で常々訪問し勉強させて頂いております。お会いできて大変光栄です。

●二人の世界オオコウモリ旅行
https://fruitbat.at.webry.info

●オオコウモリの世界へようこそ
http://www2r.biglobe.ne.jp/~fruitbat/index.htm#mokuji

●どうぶつのくに:コウモリ特集の著者でもあらせられます。
http://www.doubutsu-no-kuni.net/?cat=185

お話会は子供たちも参加して写真満載・クイズ形式で進められました。
いろいろな動物の顔が並ぶ中、コウモリはいくつ?そんなクイズに本気で挑んでおとなの私が間違えるほど、コウモリは謎の存在でありました。

しかしそんな楽しいお話会も、研究者の皆様の熱い講演が長引いたおかげでちょっと急ぎ気味。早々と観察会のチーム分けとチームごとについて下さる先生方の紹介を済ませて講演会場をあとにします。

こちらがバットディテクター!

さて、チームごとに集合して念願のバットディテクターと初対面。
1台お借りして使用方法の説明を聞きます。電源を入れ、キャッチする周波数をコウモリのバズコールを検出できるよう40kHzに合わせると、波長の合わないラジオのようにスーッ・ザーッと雑音がします。コウモリが住み着いていると思われる民家の方向に集音筒を向けてコウモリの出現を待ちます。しかし、この日は風が強く・寒い。。。
コウモリTシャツを見せびらかすためにジャケットのファスナーは閉めずに頑張っておりましたがもう無理です。私も無理でしたがコウモリも寒くて無理だったようで、コウモリが飛び出す逢魔が時を過ぎても一向に姿を現しません。

残念ながら主催者側が解散を決定し参加者が帰り始めたその時、マイディテクターをお持ちだった参加者お一方がバズコールを検出しました!しかしその声の主は姿も見せずあっという間に飛び去った模様。それでも参加者・先生方ともにちょっと幸せな気分になりました。

観察会はこれにて解散。希望者は懇親会に参加可能ですが、私はフェスティバル初参加だったこともあり勝手が分からず申し込みはしておりませんでした。主催者に尋ねたところどうやら「コウモリオークション」はこの懇親会で行われ、各々自慢のコウモリグッズのやりとりがある模様。寒すぎて主催者へのコウモリTシャツアピールも断念してしまいましたが、またの参加をお約束し帰途につきました。

これにて私のコウモリフェスティバル2018参加報告は終了です。

夕飯は地元のスーパーで伊勢うどん
次の日は伊勢神宮にお参りしてきました!

コウモリフェスティバル 2018 in 三重 その7

講演会プログラムのご紹介⑤(ラスト演目)
コウモリの移動生態学
福井大さん(東京大学)

お土産のポスター!

福井さんも佐野さんと同じく「コウモリ識別ハンドブック」の監修者でありお名前をいろいろなところでお見かけいたします。
福井さんはコウモリの移動を調べておられます。

過去にコウモリの移動は個体標識で調べられていました。この手法は標識された点と発見された点2点間を結ぶものであり、おおまかな季節移動を観測することはできましたが、実際に日々コウモリたちがどこでなにをしているかは分かりませんでした。
現在福井さんはラジオテレメトリー=小型の発信機を用いてより詳細な研究を進めておられます。最近では発信機の小型化・省電力化が進み小さなコウモリの研究も可能となりました。さらにGPSの利用などによって広範囲・長距離データの分析も蓄積されており、移動に関する謎「●どこを●どうやって●なぜ」はますます明らかになっていくことでしょう。

ラジオテレメトリーを用いた結果以下の様なことが分かります。

キクガシラコウモリ
1日の移動距離:10~20km、バラバラの餌場へ移動
飛行速度:1~10km/h
飛行高度:0~30m

ヤエヤマコウモリ
1日の移動距離:
成獣:10~30km きまった餌場に集まりがち
亜成獣:25~65km 経験に乏しいため様々な場所を冒険
飛行速度:30km/h

ヤマコウモリ
1日の移動距離:個体によって餌場のばらつきが大きく~70km
飛行速度:25~45km/h
飛行高度:30-200m

集団で行動するように見えるコウモリも行動に個体差・年齢差があることを知り、ますます興味が湧きましたよ。

また、コウモリの移動ナビゲーション戦略は以下のカテゴリーに分けられるそうです。

●Beaconing : 山の頂上などを標識とする
●Route following : 洞窟・森林のふちを移動する
●Path integration: アリなど昆虫にも見られる行動で、移動距離と移動方向をモニターし、これを積算して自分の現在地を知る
●Cognitive map: 経験による記憶地図
●Map & Compass : 渡り鳥のように地磁気を利用

動物学者というのはじっくり実験・観察するだけでなく、動物の行動をこんな風に分類・分析しているのですね!

コウモリフェスティバル 2018 in 三重 その6

講演会プログラムのご紹介④
コウモリの名前
河合久仁子さん(東海大学)

お土産のコウモリ葉書
お土産のコウモリ葉書

河合さんは世界中の研究者とやりとりしながら、コウモリの種の同定を行っておられます。

海外研究者との共同野外調査では「このコウモリの種を何語でなんと呼ぶのか」のやりとりから始まるそうです。
さらに実験室内では海外からタイプ標本を借りての比較を行ったりDNAを用いた実験を行ったり、、、とパワフルにお仕事されている様子が印象的でした。

講演会では河合さんが撮影した数々のコウモリ写真が披露され、
「このコウモリはなんて名前?」とクイズ形式でお話しが進みました。

●キクガシラコウモリ (翼で顔が覆われる)
●コキクガシラコウモリ (顔丸見え)
●アブラコウモリ(腕が赤い)
●ウサギコウモリ(耳長い)
くらいまでは私も判ったのですが、

●モモジロコウモリ(メモによると足が大きい)
●ノレンコウモリ
●ユビナガコウモリ
この3種はまだ頭にはいっておらず???

●テングコウモリ(ふわふわ、銀のさし毛)
●コテングコウモリ(茶色の毛、葉っぱの中で眠る)
こちらは鼻が特徴的ですので判りましたよ!

後半は深い研究内容へ。河合さんはとある種の分類に関して論文発表を控えておられるとのこと。
コウモリの尾膜にパンチ穴を開けてそこからDNAを抽出、そうして比較された遺伝子系統樹の一部も拝見しました。
尾膜の穴は再生するそうですのでご安心あれ。

絵葉書、ひっくり返して眺めるとまた愉快

コウモリフェスティバル 2018 in 三重 その5

講演会プログラムのご紹介③
コウモリのエコーロケーションに学ぶ
飛龍志津子さん(同志社大学)

飛龍さんは工学部教授でありながらコウモリを研究しておられます。
バイオミメティクス(生物模倣技術:新幹線のデザインはカワセミのくちばしを参考にしている、等)は形・材料にとどまらず、今では思考・行動に学ぶ時代。
エコーロケーションをあやつるコウモリに学び、次世代センサー技術に応用していこうという試みです。

発表の最初にコウモリが蛾をキャッチする動画が流れ、会場が「おお〜」と小さくどよめきました。
尾膜で上手に蛾をキャッチするのですが、この動画の音にもご注意下さい。
コウモリの発する超音波を人間に聞こえる音に変換しています。
この鳴き方は捕食時に特徴的な超音波=バズコールと呼ばれます。
最初はチュン・・・チュン・・とまばらだった間隔が、蛾に接近するにつれてチュン・チュン・チュ・チュ・チュ・チュチュチュチュと短い間隔へと変化しています。
コウモリに搭載する超小型マイクの進化により詳細な解析が可能となり、コウモリの出す音は間隔・高さ・大きさ共に変化していることが判りました。
一方コウモリの受け取る音はドップラーシフト等の補償を受け、ほぼ一定の周波数・音圧におさまります。入力周波数を絞ることでその領域の解像度をあげる。これは大変効率の良いシステムです。

また同志社大では実験エリアに複数のマイクを配置し、コウモリの飛行経路および超音波の発信方向の三次元的解析も行っています。
その結果、ひとつの獲物を追っている時にすでに2番目の獲物の位置を確認していることが判りました。「二虫を追うコウモリ、二虫を得ている」とのことです。

おまけ

コウモリの使用している周波数を実感するため、周波数聴覚テストが行われました。低い音からチャレンジで聞こえる人は手をあげるのですが、14kHzが聞こえない。。。
周りの20代とおぼしき男性や小中学生は手をあげているというのに。ショックでした。
20kHzが聞こえる人はゼロ。これが聞こえり人はヒトではないとのこと。

コウモリフェスティバル 2018 in 三重 その4

講演会のご紹介:ちょっと休憩

今回コウモリフェスティバルへの参加申し込みをした際に、事務局からご案内メールが届きました。
出発前日にメールを確認したところ、こんな一文を発見しました。

「*コウモリオークションも開催しますので、出品される方はご持参ください。
(品が不足しておりますので、よろしくお願いいたします)」

コウモリオークション?品が不足している?
全く状況がつかめませんが、昨年こうもりクラブとしてクラウドファンディングを行った際にリターンとして作成した数々のコウモリグッズ、これを自慢しない手はありません。
さらに、オークションのニーズにフィットするようであれば、現在薮内美術館で取り扱っている品々をご紹介してくることも可能です。

 ↓薮内正幸美術館ブログ「館長日誌」
 http://yabuuchi-art.jp/blog/?p=15452

とはいえ、行ってみないと相手も状況も分かりませんし、私の低いコミュニケーション能力でどこまでご紹介できるのか。。。

とりあえず、講演会会場ではこうもりTシャツをオン!
休憩中も見せびらかしながら参加しております。

コウモリフェスティバル 2018 in 三重 その3

講演会プログラムのご紹介②

コウモリの食性を調べる
佐藤顕義さん(有限会社アルマス)

佐藤さんはコウモリの食べ物を調べています。
食べ物を知ることで、生息場所の特定にもつながります。
食べ物を調べる方法には以下のような方法がありますが

 ●胃の内容物
 ●残渣(食べかす)
 ●フンのDNA解析
 ●フンの分析

佐藤さんは中でもフンの分析専門家=昆虫の専門家です。 昆虫のわずかなパーツのみで種を同定するのです!

フンを分析して分かったこととさらなる謎
● 蜘蛛(徘徊性、造網性共に)も食べている!   
 →目視で見つけるのか?
  たまたま蜘蛛の巣に出会ったのか? 
  わざと蜘蛛の巣にアタックしているのか?
● 飛んでいる虫だけでなく、羽化前の幼虫も食べている   
 →エコーロケーションが使いにくいのでは。
  目視や動作音をを頼りに見つけている?
● 大型のヤマコウモリのフンからは鳥の羽まで出てきた。。。
 →鳥も食べている!
  羽毛を顕微鏡下で観察することで鳥種が同定できる。

おまけ:蜘蛛の脚について調べていたら、こんなサイトが!
「脚だけ見れば蜘蛛はとってもかわいい(蜘蛛の脚のみ)」
https://www.boredpanda.com

 

コウモリフェスティバル 2018 in 三重 その2

講演会プログラムのご紹介①

温帯にすむ洞穴性コウモリの生き残り戦術
佐野明さん(三重県総合博物館)

↓佐野さんはこちらの本を監修しておられます。
 表紙はコテングコウモリ。

概要
コウモリは熱帯起源ですが、20科のうち5科が温帯に進出しました。温帯に住むことで冬眠が必要になり、単発情性(1年に1回の発情期)を獲得しました。
さらにねぐらを洞穴とした種では、一年を通して安定した環境であるため、単胎生(1回の妊娠で1匹の子供)であり、低繁殖力ですが寿命が長いという特徴があります。
温帯・洞穴性のコウモリとしての代表格が「キクガシラコウモリ」です。彼らは20g前後と比較的大型のコウモリであり、ヨーロッパ・ユーラシア・日本にかけて広く分布しています。彼らは晩熟で2-3才で初産を迎え、22才を超える生存記録があります。出産保育コロニーを形成し、母親が夕方餌を採りに出かける間、子供達は「おしくらまんじゅう」状態で体温の低下を防ぎます。子育て期間に母親は1時間程で採餌を終え、超音波コミュニケーションにより我が子を認識し、残りの23 時間を子供を温めることに費やします。母コウモリの40%が同じ洞穴に戻り出産をします。安定かつ洗練された生き残り戦術ゆえに新生獣の死亡率は大変低く3.7%にとどまっています。