コウモリフェスティバル 2018 in 三重 その7

講演会プログラムのご紹介⑤(ラスト演目)
コウモリの移動生態学
福井大さん(東京大学)

お土産のポスター!

福井さんも佐野さんと同じく「コウモリ識別ハンドブック」の監修者でありお名前をいろいろなところでお見かけいたします。
福井さんはコウモリの移動を調べておられます。

過去にコウモリの移動は個体標識で調べられていました。この手法は標識された点と発見された点2点間を結ぶものであり、おおまかな季節移動を観測することはできましたが、実際に日々コウモリたちがどこでなにをしているかは分かりませんでした。
現在福井さんはラジオテレメトリー=小型の発信機を用いてより詳細な研究を進めておられます。最近では発信機の小型化・省電力化が進み小さなコウモリの研究も可能となりました。さらにGPSの利用などによって広範囲・長距離データの分析も蓄積されており、移動に関する謎「●どこを●どうやって●なぜ」はますます明らかになっていくことでしょう。

ラジオテレメトリーを用いた結果以下の様なことが分かります。

キクガシラコウモリ
1日の移動距離:10~20km、バラバラの餌場へ移動
飛行速度:1~10km/h
飛行高度:0~30m

ヤエヤマコウモリ
1日の移動距離:
成獣:10~30km きまった餌場に集まりがち
亜成獣:25~65km 経験に乏しいため様々な場所を冒険
飛行速度:30km/h

ヤマコウモリ
1日の移動距離:個体によって餌場のばらつきが大きく~70km
飛行速度:25~45km/h
飛行高度:30-200m

集団で行動するように見えるコウモリも行動に個体差・年齢差があることを知り、ますます興味が湧きましたよ。

コウモリフェスティバル 2018 in 三重 その6

講演会プログラムのご紹介④
コウモリの名前
河合久仁子さん(東海大学)

お土産のコウモリ葉書
お土産のコウモリ葉書

河合さんは世界中の研究者とやりとりしながら、コウモリの種の同定を行っておられます。

海外研究者との共同野外調査では「このコウモリの種を何語でなんと呼ぶのか」のやりとりから始まるそうです。
さらに実験室内では海外からタイプ標本を借りての比較を行ったりDNAを用いた実験を行ったり、、、とパワフルにお仕事されている様子が印象的でした。

講演会では河合さんが撮影した数々のコウモリ写真が披露され、
「このコウモリはなんて名前?」とクイズ形式でお話しが進みました。

●キクガシラコウモリ (翼で顔が覆われる)
●コキクガシラコウモリ (顔丸見え)
●アブラコウモリ(腕が赤い)
●ウサギコウモリ(耳長い)
くらいまでは私も判ったのですが、

●モモジロコウモリ(メモによると足が大きい)
●ノレンコウモリ
●ユビナガコウモリ
この3種はまだ頭にはいっておらず???

●テングコウモリ(ふわふわ、銀のさし毛)
●コテングコウモリ(茶色の毛、葉っぱの中で眠る)
こちらは鼻が特徴的ですので判りましたよ!

後半は深い研究内容へ。河合さんはとある種の分類に関して論文発表を控えておられるとのこと。
コウモリの尾膜にパンチ穴を開けてそこからDNAを抽出、そうして比較された遺伝子系統樹の一部も拝見しました。
尾膜の穴は再生するそうですのでご安心あれ。

絵葉書、ひっくり返して眺めるとまた愉快

コウモリフェスティバル 2018 in 三重 その5

講演会プログラムのご紹介③
コウモリのエコーロケーションに学ぶ
飛龍志津子さん(同志社大学)

飛龍さんは工学部教授でありながらコウモリを研究しておられます。
バイオミメティクス(生物模倣技術:新幹線のデザインはカワセミのくちばしを参考にしている、等)は形・材料にとどまらず、今では思考・行動に学ぶ時代。
エコーロケーションをあやつるコウモリに学び、次世代センサー技術に応用していこうという試みです。

発表の最初にコウモリが蛾をキャッチする動画が流れ、会場が「おお〜」と小さくどよめきました。
尾膜で上手に蛾をキャッチするのですが、この動画の音にもご注意下さい。
コウモリの発する超音波を人間に聞こえる音に変換しています。
この鳴き方は捕食時に特徴的な超音波=バズコールと呼ばれます。
最初はチュン・・・チュン・・とまばらだった間隔が、蛾に接近するにつれてチュン・チュン・チュ・チュ・チュ・チュチュチュチュと短い間隔へと変化しています。
コウモリに搭載する超小型マイクの進化により詳細な解析が可能となり、コウモリの出す音は間隔・高さ・大きさ共に変化していることが判りました。
一方コウモリの受け取る音はドップラーシフト等の補償を受け、ほぼ一定の周波数・音圧におさまります。入力周波数を絞ることでその領域の解像度をあげる。これは大変効率の良いシステムです。

また同志社大では実験エリアに複数のマイクを配置し、コウモリの飛行経路および超音波の発信方向の三次元的解析も行っています。
その結果、ひとつの獲物を追っている時にすでに2番目の獲物の位置を確認していることが判りました。「二虫を追うコウモリ、二虫を得ている」とのことです。

おまけ

コウモリの使用している周波数を実感するため、周波数聴覚テストが行われました。低い音からチャレンジで聞こえる人は手をあげるのですが、14kHzが聞こえない。。。
周りの20代とおぼしき男性や小中学生は手をあげているというのに。ショックでした。
20kHzが聞こえる人はゼロ。これが聞こえり人はヒトではないとのこと。

コウモリフェスティバル 2018 in 三重 その4

講演会のご紹介:ちょっと休憩

今回コウモリフェスティバルへの参加申し込みをした際に、事務局からご案内メールが届きました。
出発前日にメールを確認したところ、こんな一文を発見しました。

「*コウモリオークションも開催しますので、出品される方はご持参ください。
(品が不足しておりますので、よろしくお願いいたします)」

コウモリオークション?品が不足している?
全く状況がつかめませんが、昨年こうもりクラブとしてクラウドファンディングを行った際にリターンとして作成した数々のコウモリグッズ、これを自慢しない手はありません。
さらに、オークションのニーズにフィットするようであれば、現在薮内美術館で取り扱っている品々をご紹介してくることも可能です。

 ↓薮内正幸美術館ブログ「館長日誌」
 http://yabuuchi-art.jp/blog/?p=15452

とはいえ、行ってみないと相手も状況も分かりませんし、私の低いコミュニケーション能力でどこまでご紹介できるのか。。。

とりあえず、講演会会場ではこうもりTシャツをオン!
休憩中も見せびらかしながら参加しております。

コウモリフェスティバル 2018 in 三重 その3

講演会プログラムのご紹介②

コウモリの食性を調べる
佐藤顕義さん(有限会社アルマス)

佐藤さんはコウモリの食べ物を調べています。
食べ物を知ることで、生息場所の特定にもつながります。
食べ物を調べる方法には以下のような方法がありますが

 ●胃の内容物
 ●残渣(食べかす)
 ●フンのDNA解析
 ●フンの分析

佐藤さんは中でもフンの分析専門家=昆虫の専門家です。 昆虫のわずかなパーツのみで種を同定するのです!

フンを分析して分かったこととさらなる謎
● 蜘蛛(徘徊性、造網性共に)も食べている!   
 →目視で見つけるのか?
  たまたま蜘蛛の巣に出会ったのか? 
  わざと蜘蛛の巣にアタックしているのか?
● 飛んでいる虫だけでなく、羽化前の幼虫も食べている   
 →エコーロケーションが使いにくいのでは。
  目視や動作音をを頼りに見つけている?
● 大型のヤマコウモリのフンからは鳥の羽まで出てきた。。。
 →鳥も食べている!
  羽毛を顕微鏡下で観察することで鳥種が同定できる。

おまけ:蜘蛛の脚について調べていたら、こんなサイトが!
「脚だけ見れば蜘蛛はとってもかわいい(蜘蛛の脚のみ)」
https://www.boredpanda.com

 

コウモリフェスティバル 2018 in 三重 その2

講演会プログラムのご紹介①

温帯にすむ洞穴性コウモリの生き残り戦術
佐野明さん(三重県総合博物館)

↓佐野さんはこちらの本を監修しておられます。
 表紙はコテングコウモリ。

概要
コウモリは熱帯起源ですが、20科のうち5科が温帯に進出しました。温帯に住むことで冬眠が必要になり、単発情性(1年に1回の発情期)を獲得しました。
さらにねぐらを洞穴とした種では、一年を通して安定した環境であるため、単胎生(1回の妊娠で1匹の子供)であり、低繁殖力ですが寿命が長いという特徴があります。
温帯・洞穴性のコウモリとしての代表格が「キクガシラコウモリ」です。彼らは20g前後と比較的大型のコウモリであり、ヨーロッパ・ユーラシア・日本にかけて広く分布しています。彼らは晩熟で2-3才で初産を迎え、22才を超える生存記録があります。出産保育コロニーを形成し、母親が夕方餌を採りに出かける間、子供達は「おしくらまんじゅう」状態で体温の低下を防ぎます。子育て期間に母親は1時間程で採餌を終え、超音波コミュニケーションにより我が子を認識し、残りの23 時間を子供を温めることに費やします。母コウモリの40%が同じ洞穴に戻り出産をします。安定かつ洗練された生き残り戦術ゆえに新生獣の死亡率は大変低く3.7%にとどまっています。

コウモリフェスティバル 2018 in 三重

念願のコウモリフェスティバルへ行って参りました!
コウモリフェスティバルは今年で第24回、どうやら毎年開催地を変えて続けられているようです。
購入したコウモリ書籍やネット上でお名前をお見かけするコウモリ研究者による発表&バットディテクターを用いたコウモリ観察会もついているとあって、興味が諸々の躊躇を飛び越えました。

さて、新幹線+近鉄を乗り継いで、無事に津駅に到着。徒歩25分でコウモリフェスティバルの「のぼり旗」と共に会場の三重県総合博物館(通称MieMu)が見えてきました。開館5年目だそうです。なかなかかっこいい建物ですよ!

館内はこんな感じ。講演の開始まで展示「コウモリがいっぱい!」を楽しみました。特にコウモリの大きさと重さを再現したヌイグルミが可愛いらしかったのです。見た目の割に軽過ぎです。中身はなんなのだろう?アブラコウモリは5g=1円玉5枚、キティブタバナコウモリにいたっては、2g=1円玉2枚しかないのだそうな!

さて、講演会会場は撮影禁止でしたので写真はこれまで。これ以降の報告は後日、そして想像を超えたマニアックさを含む内容を文字だけで表現することになりそうです。

ウミウシをみにいく

ハナオトメウミウシ 体長3cm位

ウミウシを見に水族館へ。
学生時代に磯の動物を採取、その全てをスケッチするという実習があったが、その際に体長1cmほどの真っ黒なウミウシに出会ったのが興味のはじまり。背中に沢山の繊細な突起を持ち、ゆっくりと動く。その小さな姿が黒ミンクのコートを纏った貴婦人に見えたのだ。
後日「ウミウシガイドブック」を購入。その形態の多様さと色使いに目を奪われた。
しかし海にでかける趣味を持たない私はその後ウミウシに触れる機会を持たなかった。
今回の水族館の企画はまたとない好機であった。

実際ウミウシ展示に設けられたスペースは想像より狭く少々がっかりしたが、落ち着いて考えれば思い出と図鑑とで私の期待がふくらみすぎていたのかもしれない。
水族とはどうしても厚いガラス越しでの対話になり、小さなウミウシたちをよくよく見るのは難しい。小さな水槽の高さが子供のことを考えてなのか下の方に設置されている場合はもう絶望的に体勢がきつい。ゆっくりした不思議な動物なので時間をかけて観察したかったのだが「もっと見たい」が叶わず、体力と気力が消耗される展示であった。
それでも数種類のウミウシを実際に見ることができたことは実に喜ばしい。

シンデレラウミウシ 体長3cm位
ウミウシガイドブック―沖縄・慶良間諸島の海から 小野 篤司 (著)

アマゾンに生息するコウモリの図鑑

コウモリへの興味が高じてとうとう海外から書籍を購入するに至った。
その名も
“FIELD GUIDE TO THE BATS OF THE AMAZON”

アマゾンに生息する160種にわたるコウモリ達の図鑑である。
その分類法は主に形態に基づくのだが体長・翼長・前腕長にはじまり、耳介・耳珠・鼻葉・尾膜、といったコウモリ特有の単語が並ぶ。
歯の並び、体毛1本の根元から先までの毛色変化にまで注目したその詳細な説明は笑ってしまう程あっぱれの研究者魂である。
付録にはコウモリ達のポートレートが並び蒐集癖のある私としては大満足の一冊。