コウモリフェスティバル 2018 in 三重 その5
講演会プログラムのご紹介③
コウモリのエコーロケーションに学ぶ
飛龍志津子さん(同志社大学)
飛龍さんは工学部教授でありながらコウモリを研究しておられます。
バイオミメティクス(生物模倣技術:新幹線のデザインはカワセミのくちばしを参考にしている、等)は形・材料にとどまらず、今では思考・行動に学ぶ時代。
エコーロケーションをあやつるコウモリに学び、次世代センサー技術に応用していこうという試みです。
発表の最初にコウモリが蛾をキャッチする動画が流れ、会場が「おお〜」と小さくどよめきました。
尾膜で上手に蛾をキャッチするのですが、この動画の音にもご注意下さい。
コウモリの発する超音波を人間に聞こえる音に変換しています。
この鳴き方は捕食時に特徴的な超音波=バズコールと呼ばれます。
最初はチュン・・・チュン・・とまばらだった間隔が、蛾に接近するにつれてチュン・チュン・チュ・チュ・チュ・チュチュチュチュと短い間隔へと変化しています。
コウモリに搭載する超小型マイクの進化により詳細な解析が可能となり、コウモリの出す音は間隔・高さ・大きさ共に変化していることが判りました。
一方コウモリの受け取る音はドップラーシフト等の補償を受け、ほぼ一定の周波数・音圧におさまります。入力周波数を絞ることでその領域の解像度をあげる。これは大変効率の良いシステムです。
また同志社大では実験エリアに複数のマイクを配置し、コウモリの飛行経路および超音波の発信方向の三次元的解析も行っています。
その結果、ひとつの獲物を追っている時にすでに2番目の獲物の位置を確認していることが判りました。「二虫を追うコウモリ、二虫を得ている」とのことです。
おまけ
コウモリの使用している周波数を実感するため、周波数聴覚テストが行われました。低い音からチャレンジで聞こえる人は手をあげるのですが、14kHzが聞こえない。。。
周りの20代とおぼしき男性や小中学生は手をあげているというのに。ショックでした。
20kHzが聞こえる人はゼロ。これが聞こえり人はヒトではないとのこと。