ハンセン病資料館を訪ねる

電車内で見かけた翡翠色のポスターにただただ惹かれて「ハンセン病資料館」へ。
*企画展は終了しています。

ハンセン病といえば数年前に読んで衝撃を受けた「北條民雄」著作の私小説「いのちの初夜」が蘇る。
肉体は腐り崩れていくなか精神は純粋を保つことができるのか。療養所で生きる人々の命はグロテスクと美を同時に併せ持ち得体の知れない輝きを放つ。
その小説の印象とこのポスターの翡翠色が完全に重なり「これはいかねば」と思い込んだのであった。

とはいえ絵画展ともあって気軽に出かけた。
場所は東村山市。西武池袋線の駅からバスを利用してアクセスすることもできるが、武蔵野線:新秋津駅から徒歩20分を選択した。(暑いのに)

地図を確認したところ公園の一角にあるようだ。資料館を目指して緑地に足を踏み入れたのだが、、

不思議な静けさを持つ森。そしてなんだか注文が多く独特の空気感。あれ?入ってよかったのか?

「ハンセン病資料館」が見えてきて安心するが、ここは公園ではなく「国立療養所多磨全生園(ぜんしょうえん)」の敷地内であることを知る。

お目当ての絵画展は小さな企画展であった。すべて入場無料。
全生園の存在も知らずまたしっかりした常設展があるとも調べずにひょっこり来てしまった。そこでまずは休憩がてら概要を知ろうとちょうど映像ホールで始まっていた全生園入所者の体験談DVD鑑賞に滑り込むが、これがショックな内容であった。

・矯正収容
・不妊手術
・監禁
・特効薬が開発されたにも関わらず、法令整備が遅れ人権侵害や差別が続く、、、

全生園はまさに北條民雄が生涯を終えた舞台であった。想像を絶する療養生活と精緻に描かれる心の在り様をどこか崇高な異世界のことの様に捉えてしまっていたようだが、臨場感ある体験談に加えこの7月にハンセン病国賠訴訟の控訴を国が見送ったとのニュースを知り、小説の世界と現在がやっと繋がったのだった。

さらに常設展を受け止めるのはひょっこり訪ねた私には重すぎたので通り過ぎるに留めた。また改めて出直そうと思う。

展示の最後に見た療養者達による絵画展のおかげで頭がやっと情報から解放された。
お目当ての翡翠色の絵の題名は「アマダイ」。
なのに頭に飾りがついて胸鰭・尾鰭も魚のそれではない。
闇の中の光のイメージがぴったりである。

●全生園の散歩道
http://www.hansen-dis.jp/06vst/tamazenshoen_map

●いのちの初夜 北條民雄著
私の中で勝手に翡翠色の表紙に置き換わっていたのだが、読んだ角川文庫の表紙はこちら。全然ピンクではないか!自分の記憶の適当さに驚いた。思い込みも甚だしいがやはり小説の印象は翡翠色である。

 

 

 

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